foresta profonda

眠くない日はない。

WOWOW「沈まぬ太陽」が面白い

やっぱり山崎豊子の作品は面白い。
小説は途中までしか読んでおらず、ドラマと映画しか観ていないのでにわかファンだけど、大好きだ。

www.wowow.co.jp

内容が航空機事故を取り扱ったものだけに面白いというのは不謹慎だけど、山崎作品はどれも「人間の善悪」がテーマなので、ストーリーが重厚で見応えがある。

確固たる "信念" を持つ主人公と、その主人公と対立するライバルが登場して、信念を貫こうとするが故にライバルや家族、そして自分も悩み苦しむ、というのが山崎作品の軸のように思う。その信念が誰にとっても常に正しいというわけではなく、ときに周りを傷つけてしまうこともあるという人間模様が面白いし、自分の価値観をも揺さぶってくれる。

そんな例に違わず「沈まぬ太陽」も自らの信念を貫き続けようとするがあまり、会社からは煙たがられ家族に苦労をかけてしまう主人公と、そんな主人公と志を共にしていたが、ある出来事をきっかけに袂を分かち出世コースを突き進むことになるライバルという構図が描かれている。

一般社会においてはライバルとして描かれている人物のような生き方を選んでしまう人の方が圧倒的多数だと思う。だからこそ、己の正義を貫こうとする主人公がカッコ良く見えるのだと思う。

さて、「沈まぬ太陽」は2011年の映画版も観たけど、やっぱり数時間の映画でこの巨編を描ききるのは難しいと思った。特に、10年間にも渡る僻地勤務の描写はじっくり時間をかけて描かなければ、主人公の苦しみが伝わりにくい。主人公がアフリカ駐在中、自宅で気が狂いそうになって、剥製に銃を向けるシーンなどがそうだ。その点、今回のWOWOW版では数週間かけて中東編・アフリカ編を取り扱っていたのはとても良かった。

キャスティングも素晴らしく、特に会長室編の悪役俳優陣は最高で、轟鉄也役の高嶋政伸の名演技には感動している。八馬忠次役の板尾創路も秀悦で、とてもごっつで板尾係長をやっていた人とは思えないほどだ…。

半年間の放送もいよいよあと3話で最終話となると思うと寂しい限りだけど、残りの放送を楽しみにしたい。